不思議なことに、1960年代~80年代はじめごろに建てられたと思われる青く塗られた建物が本島全域に分布しています。
その時は青いペンキが多かったのか流行りだったのかは分かりませんが、なぜか青いペンキを塗った建物が多いのです。
本部町
壁のトタンと軒の柱と梁が青いです。丸太を使うと柱が少なくてさっぱりします。
名護市
空の色と建物の色が調和してとてもきれいです。
バス停もかなり効いています。
沖縄市
手が届くところだけは塗り直したのでしょうか。窓の格子の上の⊿も見逃せません。雨仕舞もバッチリです。
宜野湾市
珍しいトリコロール。別棟のスラブヤーと色づかいを揃えて、唯一部分的に庇だけ繋げて赤のラインを通すことで全然違うかたちの建物だのに見事な一体感が出ています。
庇にひびが入るので、今ではこういうことはほとんどやりません。やるとしてもひび割れを恐れて、倍ぐらいの厚さになるでしょう。でもそうするとこの鋭さは出ないと思います。
目立ちませんが門扉もしっかり効いています。
那覇市
年季を感じます。同じ色で塗り直したくなりますね。
那覇市
3軒連発!
門扉も最高です。あまりデザインという言葉は使いませんが、すばらしいデザインだと思います。
猫が逃げないように?それとも入ってこないように?取り付けられたエキスパンドメタルもさりげなく、でも確実に機能しています。さらに開け閉めの時にケガしないように、エキスパンドメタルのはじっこに被せられたホースが優しいです。
おそらく水不足の時に書いたのでしょう。「散水は井戸水です」
金網越しの緑の見えかた、青いトタンのバランス、さし色の黄色の散りばめかたもすごいです。
溜息が出ます。
那覇市
青いトタンの色褪せ具合と錆びの筋、水道パイプの走りかたがもう、、、、
那覇市
屋根の鉄板とモルタルの壁との相性がまるでトミーとマツのようです。
まるで種子島の発射台でカウントダウンを待っているロケットような水タンクも忘れてはいけません。
古いか!?
なぜ青いペンキの建物がこんなに広まっているのか本当に不思議です。
これからも分布の北限、南限を探って行こうと思います。
同業者のお友達、LITTAI space works の仲地正樹さんが 勝手に傑作 というすばらしい研究をしていて、時には一緒に、時には個別で、勝手に認定した傑作を探して悦に入るという地味でニッチな活動をしています。
ふだん設計している建物とはだいぶかけ離れていますが、誤解を恐れずに言うと、普通の材料で普通の知識で必要にかられて作ってみたらこうなった、みたいなかたちがとってもカッコよかったり、つくった時のエネルギーが今でもにじみ出ていたり、かと思ったらあっさり途中で諦めていたり、材料が足りなくなって途中から違う材料を使ったりする潔さもあったりして、とても魅力を感じます。
時々、こんな傑作を 勝手に傑作 ギノワン支部 としてご紹介していきたいと思います。
暖簾分けを許してくれた正樹さん(本部長)、どうもありがとうございました。